目次
免責事項
シミ治療は、皮膚科と美容外科・美容皮膚科のクリニックどちらを選べば良いですか?患者様からこのような質問を受けることがあります。皮膚科専門医としての立場で解説します。
なお本記事で、記載する「美容外科・美容皮膚科のクリニック」とは、特定のクリニック名を指しておりません。またあくまで個人の見解となりますので、あらかじめご了承ください。
皮膚科・美容皮膚科と美容外科・美容皮膚科の違い
現状の医療制度では、標榜科を医療機関側が自由に選択できるため、誤解がない様に、あらかじめ下の表の様に定義づけします。
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皮膚科・美容皮膚科 |
美容外科・美容皮膚科 |
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主な標ぼう科目 |
皮膚科 |
美容外科 |
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専門医 |
皮膚科専門医 |
形成外科専門医 形成外科専門医→美容外科医 なし |
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保険区分 |
保険中心 |
自費中心または自費のみ |
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医師の経歴 |
総合病院で10年程度勤務後、専門医を取得後、数年して開業 |
総合病院で6~7年勤務後、専門医を取得後に開業(専門医がある場合) 総合病院で2年勤務後、開業またはクリニック勤務 |
最近よく聞く直美(ちょくび)とは?
医師の間では昔から話題になっていましたが、ニュースのワイドショーでも、“医師の保険離れ”、“直美医師の増加”など触れられるようになってきました。一般的に「直美」とは、医師国家試験取得後、総合病院で初期研修医(2年間)を終えた後に直ぐに美容外科等の自費中心のクリニックに勤務する医師を指すことが多いようです。
勿論、直美全てが悪いという訳ではありません。医師のその後の経験によって左右されますし、そもそも経験が長い先生=良い医師という訳ではありません。
ただ、日々治療をしていて、専門医を取る過程で得た知識が役立つシーンは多く、専門医を取るためのトレーニングを経ていないまま、シミや赤ら顔などの皮膚科の領域も手広く治療されているため、トラブルを起こす症例が多いことを問題視しています。
皮膚科専門医とは?

冒頭でも触れましたが、日本では医師免許を持っていれば誰でも皮膚科を標ぼうすることができます。
ただ、医師の質を担保するために、日本専門医機構が管理するとした、専門医制度が設けられています。
日本専門医機構では、専門医は「それぞれの診療領域における適切な教育を受けて、十分な知識・経験を持ち患者から信頼される標準的な医療を提供できるとともに、先端的な医療を理解し情報を提供できる医師」と定義しています。
皮膚科専門医においては、下記が必要とされています。
・指導医がいる、皮膚科専門医認定施設にて少なくとも5年以上勤務すること
・一定数以上の、皮膚外科手術、学術論文の執筆、学会発表の実施、講習会の受講を行うこと
・専門医試験に合格すること
5年ごとの専門医の更新を行うこと
専門医の何がいいの?
専門医の資格を取る、維持するのが大変そうなのはわかったけど、それがシミなどの美容に何がつながるの?と思われる患者様もいらっしゃると思います。
他の皮膚科専門医の先生方が書いているホームページを見ると、“皮膚科専門医だから正確な診断ができる”というような文言が良く見受けられますが、当院での経験を基にもう少し詳しく説明します。*あくまで一般論です。
正確な病態の分類ができる

シミといっても、「老人性色素班・雀卵斑・肝斑・後天性真皮メラノサイトーシス・炎症性色素沈着」等の分類があります。それぞれ適した治療方法が異なりますが、一定数、全てシミとして治療されているクリニックが見受けられます。
また、円形脱毛症の方が、長年AGA治療薬を投与されている患者様もいらっしゃいました(円形脱毛症にフィナステリドなどのAGA薬を投与しても効果はありません)
健康に害のある重大アクシデントとしては、皮膚がんへのレーザー照射等の事例も大学病院時代は見ておりました。皮膚がんにレーザーを当てると、増殖し悪化します。
そんな例はあまり無いはず、と思いたいものですが、一定数発生しているのが現状です。
皮膚病のある方でも美容ができます

当院にいらっしゃる患者様の話を聞いていると、
・アトピーなど皮膚の病気がある方は治療できないので、皮膚科で治してから来てください
・シミの診断をつけてもらってから来てください
等のことを言われたとおっしゃる患者様もいらっしゃいます。
勿論状態によりますが、皮膚の状態によっては、皮膚の病気の治療も並行しつつ自費診療を受けることができます。(同一の病気に対しては、混合診療となるため当院では行っておりません)
なぜ、そんなことができるのか?というと、病気の分類ができるからです。病気の原理がわかっていると、時期や患者さんの状態よって、どの症状を優先すべきか?自費治療を行える状態か?等確認しながら治療を行うことができます。おそらく、直美の先生方と、保険診療を行ってきた先生の違いは、症状をなおしてあげる発想が少ないのかもしれません。
そのため、自費診療の途中で一時的に休ませるように指示させていただくこともありますし、治療内容を変更させていただくこともあります。
トラブル対応ができる

実際に治療をしていると、一定数どうしても病名・診断名がつかない症状とも遭遇します。
冒頭で、専門医を取得するまでの知識が役立った経験というのは、ここで発揮されます。
皮膚科医は皮膚のしくみ・病理検査・細胞レベルで何が起きているか?を学びます。甲状腺障害など内科的な領域が原因で、皮膚が悪化するケースもあります。
この様に、原理がわかっているからこそ、教科書のようなはっきりした症状でなくても、アプローチ方法を特定することができる。
これが専門医の一番の違いと考えています。
まとめ
自由診療は、どのクリニックで治療を受ける科は患者さんの自由意志に任せられています。
昨今は、外科の領域が頭打ちになってきて、皮膚科の領域も手広くやられているクリニックもありますが、もともと美容“外科“とつくように、外科的な領域が専門かと思います。
今まで記載してきたように、皮膚科医としての知識が役立つ機会の多さを実感しています。
勿論、自由診療は安いものではないので、強要はできませんが、患者さまに置かれましては、専門医の有無や治療に対する考えかたという点もクリニック選びの軸の一つとして考えていただけますと幸いです。
