【陰嚢被角血管腫(いんのうひかくけっかんしゅ)とは?】
今回は、男性に見られる比較的よくある皮膚疾患のひとつ、陰嚢被角血管腫(いんのうひかくけっかんしゅ)についてご紹介します。
陰嚢とは、精巣を包んでいる皮膚の袋の部分を指します。この部位に突然、血がたまったように見える青紫色〜黒っぽい小さなブツブツが現れることがあり、これを陰嚢被角血管腫と呼びます。大きさは1~5mmとと小さなものです。表面がカサカサしてカサブタみたいになったりすることもあります。擦れたり、掻いたりすると出血することがあります。
男性だけではなく、女性の陰部に出来ることもあります。(陰核被角血腫) しかし、女性が発症するのはやや稀です。原因としては、妊娠による静脈圧の更新や女性ホルモンによる血管拡張作用なども要因と考えられているようです。
■ 原因と発症のメカニズム
陰嚢被角血管腫は、原因はよくわかっておりません。
高齢の方によく見られますが、10代で発症する方もいらっしゃいます。年数が経つと徐々に数と大きさが増えていくことが多いです。
■ 主な症状と経過

この病変の主な症状は以下のとおりです:
- 陰嚢の皮膚に、限局した暗紫色のブツブツ
- 痛みや痒みは無いことが多い。あっても軽度。
- 出血が持続する場合、下着に血液が付着することも
陰嚢被角血管腫であれば良性の疾患のため、様子を見ていても大丈夫です。
ただし、以下の場合は速やかに皮膚科を受診することをお勧めします。
- 他の疾患を疑う場合
- 出血を止めたい
■ 自宅での対応と注意点
以下のようなセルフケアをしましょう:
-
清潔を保ち、シャワーや入浴時は優しく洗う
- 強くこすらない、刺激を与えない
- 通気性がよく、締め付けの少ない下着を選ぶ
過度に冷やしたり、市販薬を独自に使うことはおすすめできません。
■ 塗り薬や市販薬の使用について
陰嚢被角血管腫に対して、市販の塗り薬を自己判断で使うのは避けましょう。
理由として:
- 薬剤でかぶれを引き起こす可能性がある為です。
■ 当院での対応
当院では、陰嚢部のトラブルに対してもプライバシーに配慮し、丁寧に対応しています。
診察では:
- 他の疾患(感染性疾患、腫瘍など)との鑑別
- 視診・必要に応じて皮膚生検
- 見た目を改善したい方には患者様の症状に適した治療法のご提案(VbeamⅡなどのレーザー治療)
「受診するのが恥ずかしい」と感じる方も多いと思いますが、早期の受診で安心につながることが多いです。どうぞお気軽にご相談ください。
【まとめ】
陰嚢被角血管腫は、見た目に驚くこともありますが、良性の血管病変です。
ただし、
- 出血が止まらない
- 腫れや痛みが強い
- 色の変化が広がっていく
また、出血をくり返す・病変の範囲が広がっているといったケースでは、レーザー治療が有効です。
当院ではVbeamⅡまたはロングパルスYAGレーザー、炭酸ガスレーザーを症状によって選択して治療しております。
VbeamⅡについての詳しい説明はこちらをクリック(^^♪
炭酸ガスレーザーについてはこちらをクリック(^^♪
気になる症状がある場合は、自己判断せず、ぜひ当院にご相談下さい。
【監修医師:院長 佐々木良輔】
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【参考文献】
doi: 10.1055/s-0031-1283790. Epub 2011 Oct 14.
[Therapy for Angiokeratoma of Fordyce with the 940-nm Diode Laser]
Angiokeratoma: a cause of scrotal bleeding
- 日本皮膚科学会 雑誌・ガイドライン
- Clinical Dermatology(臨床皮膚科学)
- 血管腫・血管奇形臨床アトラス(Critical Atlas of Vascular Anomalies)
- 実際の皮膚科臨床に基づく知見
- アトラスでみる 陰部疾患 プライベートパーツの診かた