乾癬

乾癬という病気

乾癬

乾癬になると、盛り上がった赤い発疹ができ、表面の銀白色の皮膚がボロボロと落ちます。乾癬の患者様の90%位がこの症状です(尋常性乾癬と呼びます)。 こすれたりして刺激を受けやすい部分(頭、肘、膝、手のひら、足の裏)によくできます。また、皮膚の発疹に加えて耳垢が多いように感じたり、爪に凹みがあったり厚くなったりすることもこの病気を疑う症状です。大人になってから発症することが多いですが、内臓を侵すことはありません。かゆみが約50%の患者様にみられますが、かゆみをほとんど感じない場合も多いです。 良くなったり、悪くなったりしながら慢性に経過する病気です。

症状によって次の5つに分類されます。

1.尋常性乾癬:全体の9割を占めます
2.滴状(てきじょう)乾癬
3.乾癬性紅皮症(こうひしょう)
4.膿疱性(のうほうせい)乾癬
5.関節症性乾癬

乾癬はおよそ1,000人に1人の割合で発症します。
遺伝する場合がありますが、その割合はおよそ100人に4~5人とそれほど高くはありません。

病気の原因はまだ詳しく分かっていませんが、免疫細胞の異常によって角質(皮膚の一番表面の部分)を作る機能が活発になってしまっていることが分かっています。
発症のきっかけとして、感染症や生活習慣病、薬剤、ストレスなどが関連していると言われます。

●乾癬は移るのでは?と心配される方が多くいらっしゃいますが、乾癬は決して移る病気ではありませんので、心配する必要はありません。

乾癬の症状

乾癬の症状

・赤い斑点の表面に銀白色の簡単にボロボロとはがれる皮膚がくっついています。
・こすれたり刺激を受けやすい膝、肘、頭、腰、背中などに良くできます。
・頭のみに症状が出る場合、脂漏性皮膚炎という病気と区別が難しいことがあります。
・かゆみは全体の半数程度の方に伴います。
・紫外線で、症状が改善するため、夏は症状が軽くなることもあります。
・大人の発症が多いですが、ごく稀に幼年児に発症するものもあります。
・稀に関節炎や爪を侵すもの、全身の赤みを伴うものもあります。

乾癬の原因

乾癬の原因

はっきりとした原因はまだ詳しくわかっていませんが、免疫細胞の異常をきたしやすい体質の人が、環境ストレスなどの刺激を受けることで、乾癬が発症するといわれています。 乾癬を発症している人は、皮膚の一番表面の部分にあたる「角質」を作る機能が活発化していることが明らかになっています。 このように免疫に異常をきたしやすい体質の人が、感染症や生活習慣病、薬剤、ストレスなど外的因子の影響を受けることで、乾癬を発症させるのではないかと考えられています。

乾癬の治療

通常、外用薬からスタートします。
これに内服薬、紫外線療法を加えた3つ(外用療法、内服療法、光線療法)が基本的な治療法です。
2010年からは、これらの治療法で十分な効果が得らえない場合、副作用などで内服薬が使えない場合には生物学的製剤を用いた治療が使えるようになりました。

■①外用療法

ステロイド外用 

ステロイド外用 

・治療の中心となる薬剤です。
・炎症を抑え、主に赤みやかゆみを抑えます。  
・即効性があります。  
・長期間使用する場合は副作用に留意する必要があります。

活性型ビタミンD3外用

・皮膚をつくる機能の亢進状態を抑えます。
・外用を継続することで、長期間きれいな肌の状態を保つことができます。
・効果が出るまでに少し時間がかかります。

※ステロイド外用薬と活性型ビタミンD3外用薬の混合した薬もあります。症状や生活形態にあった薬を選択することが可能です。

■②内服療法

エトレチナート

エトレチナート

・皮膚をつくる機能の亢進状態を抑えます。
・胎児に影響を与える恐れがあり、服用中、服用後一定期間は避妊の必要があります。

シクロスポリン

・過剰な免疫作用を抑える薬剤です。
・定期的な血圧測定や血液検査が必要です。

アプレミラスト(商品名:オテズラ)

・2017年に発売された薬です。過剰に働く免疫を抑える作用により症状を改善します。従来の免疫抑制剤とは異なり、免疫を抑えすぎることは無いため、長期使用による副作用の心配が少ないです。

デュークラバシチニブ(商品名:ソーティクツ)

・2022年に適応になった薬です。TYK2阻害薬という今までになかった新しい種類の生物学的製剤の内服薬です。他の生物学的製剤の中では効果に対し副作用の発現率が低かったウステキヌマブ(ステラーラ)のような薬のため、飲むステラーラと例えらるように生物学的製剤の中では特に使用しやすいため外用薬や紫外線療法で治療が難しい方に適しております。ただし、初回導入前に、スクリーニング検査のため総合病院への受診を必要です(それぞれの患者様の事情に応じて紹介先を探します)。導入後の維持療法は当院でも行うことが出来ます。

■③紫外線療法

ナローバンドUVB療法

・過剰な免疫作用を抑えます。
・外用療法で十分な効果が出ない場合に行います。
・広範囲に症状がある場合に光源ランプを用いて、週1~3回全身に紫外線を照射します。
・日焼けや色素沈着を起こす場合があります。

ターゲット型光線療法

・過剰な免疫作用を抑えます。
・外用療法で十分な効果が出ない場合に行います。
・症状が一部分しかない場合に、患部のみに集中的に紫外線を照射します。
・日焼けや色素沈着を起こす場合があります。

紫外線治療機器の詳しい説明はこちら

■生物学的製剤(注射、または点滴)

・過剰な免疫作用を抑えます。
・1~3で十分な効果が出ない場合に検討します。
・導入時総合病院との連携が必要となります。
・自己注射となります。

 その他にも症状を悪化させないための生活指導など随時行っております。

当院は乾癬治療における生物学的製剤の使用を日本皮膚科学会より許可された認定施設です。

Q&A

Q.ステロイド外用薬には副作用はありますか?

A. ステロイド外用薬を漫然と使い続けると、皮膚が薄くなったり弱くなったりすることがあります。決められた容量、用法で使うことが大切です。

Q.乾癬は完治する病気ですか?

A.乾癬は慢性で発疹を繰り返し作りますが、発疹が完全に消え、自然消褪する患者様も多くいらっしゃいます。

Q.日常生活での注意点を教えてください

A.規則正しい生活と、バランスのよい食生活が大切です。乾癬が悪化しますので、カロリーの取りすぎには注意しましょう。ストレスも乾癬の大敵です。一般的に日光浴はおすすめですが、紫外線で悪化する場合もあるので、過度に行わないように注意してください。

Q.スキンケアはどうすればいいですか?

A.精神的なリラックスの意味でも入浴はおすすめです。ゴシゴシ洗いは悪化の原因になるので、身体は優しく洗います。肌に刺激を与えないよう、刺激の少ない素材の衣類を選ぶことも大切です。乾癬に対するスキンケアで有効な方法は明らかではありませんが、最近では保険適応のあるヒルドイドクリーム外用が症状を改善させるという報告もあります。

Q.乾癬は遺伝しますか?

A.乾癬になりやすい体質は遺伝する可能性がありますが、その割合は4~5%とそれほど高くありません。乾癬の発症には体質だけでなく、ストレスや食生活など外的因子の影響も絡んできます。体質が遺伝したからといって、必ずしもお子様が乾癬になるとは限りません。

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正しい情報と確かな治療で、患者様の健やかなお肌を守るお手伝いができれば幸いです。
少しでも気になるところがあれば、ぜひ当院までご相談ください。