尋常性乾癬とは

乾癬でお悩みの方は
当院で適切な治療をご提案いたします
乾癬(かんせん)は、盛り上がった赤い発疹ができ、表面に銀白色の皮膚がボロボロと剥がれ落ちる皮膚疾患です。この病気の90%以上の患者が「尋常性乾癬」と呼ばれるタイプに該当し、発疹は主にこすれやすい部分、例えば頭部、肘、膝、手のひら、足の裏に現れやすいです。乾癬の特徴として、皮膚の発疹に加えて、耳垢が多くなる、爪に凹みができる、または爪が厚くなるといった症状も見られることがあります。
また、関節性乾癬という、関節に痛みを感じたり、関節が変形する症状を伴うことがあります。腰痛や関節痛がある場合は早めの診断・治療が重要です。
乾癬は大人になってから発症することが多く、約50%の患者にかゆみが伴うことがあります。ただし、かゆみをほとんど感じない場合もあります。乾癬は良くなったり悪くなったりを繰り返しながら、慢性的に経過する病気です。乾癬が直接内臓疾患を引き起こすことはありませんが、乾癬の方は脳や心臓の血管系の病気の合併率が乾癬でない方と比べて高いと言われております。
名古屋市で繰り返す乾癬でお悩みの方は、一度当院までご相談ください。
乾癬の原因
乾癬のはっきりとした原因はまだ完全には解明されていませんが、免疫の働きに異常をきたしやすい体質に加えて、遺伝的な素因や、感染症・薬剤・ストレス・生活習慣などの外的な刺激が重なることで発症すると考えられています。
通常、皮膚のターンオーバーは28日程度ですが、乾癬の方は4~7日と非常に短くなっています。乾癬を発症している方では、皮膚の最も外側にある「角質」をつくる働きが異常に活発になり、皮膚が過剰に厚くなるのが特徴です。複数の要因が関わり合って発症や悪化につながるため、治療とあわせて摩擦を避けることや食事などの生活習慣の見直しも大切です。
乾癬の種類
尋常性乾癬
尋常性乾癬は、乾癬患者全体の9割を占めます。銀白色の鱗屑(りんせつ)を伴い、境目が明瞭な盛り上がった紅斑が全身にあらわれます。症状は、頭、ひじ、ひざ、お尻などの擦れて刺激を受けやすい部位に出ることが多く、症状が広範囲に出ていても痒みが全くない方から、痒みの強い方まで個人差があります。
乾癬性関節炎
乾癬の患者さまで関節の痛みや爪病変、手や足の指が赤く腫れている場合乾癬性関節炎の可能性が高いといわれています。
乾癬性関節炎の多くは、皮膚症状が出たあとに関節の症状が出てきます。関節が変形すると元に戻らなくなってしまうため、関節炎に有効な治療を早期から行うことが大切です。
そのため乾癬で爪の異常や手足の関節痛、腰痛、指の腫れなどがある場合は早めにご相談ください。
膿疱性乾癬
膿疱性乾癬は、全体のおよそ1%程度です。乾癬の病変に黄色または白色のあわ粒状の膿をもち、発熱や全身の倦怠感があるものをいいます。この膿疱には細菌が含まれていないので周りの人にうつることはありません。乾癬の中では重症で、全身的な治療や入院での治療が必要になることがあり、日本では難病の1つに指定されています。
乾癬性紅皮症
乾癬性紅皮症は、紅斑が互いにくっついて拡大し、皮疹が全身の8割以上を覆っている状態をいいます。正常な皮膚の働きが失われることで、皮膚のむくみが生じ、発熱や悪寒、倦怠感などの全身症状を伴うこともあります。尋常性乾癬や膿疱性乾癬から移行する場合があります。
滴状乾癬
滴状乾癬とは、直径1cmほどの小さな水滴状の紅斑が全身に現れる疾患です。個々の皮疹の特徴は尋常性乾癬と似ていますが、細菌感染が原因となることが多く、特に小児に多く発症します。数ヶ月で自然に消退することが多いのも特徴です。
当院の乾癬治療
外用薬
ステロイド
治療の中心となるのは、炎症を抑える外用薬です。
主に「赤み」や「かゆみ」を軽減する効果があり、症状の改善に役立ちます。
この薬には効果の強さに応じて5段階のランクがあり、皮疹の重症度や塗布する部位に合わせて、適切なものを選びます。ただし、長期間の使用によっては皮膚が薄くなるなどの副作用が起こる可能性もあるため、医師の指導のもとで使用することが大切です。

ステロイド+ビタミンD3
皮膚の炎症を鎮めるステロイド成分と、皮膚の細胞の増殖をコントロールして厚み鱗屑(りんせつ)を改善するビタミンD₃成分の2つが1本に配合された外用薬です。 それぞれの成分が互いに補い合いながら乾癬などの慢性炎症性皮膚疾患に対して高い治療効果を発揮し、複数の塗り薬を使い分ける手間が省けるという利点がありますが、一方でステロイドによる皮膚の萎縮やほてり、毛細血管の拡張などの副作用リスクもあるため、特に顔や首、陰部など皮膚が薄い部位への使用や長期使用には注意が必要です。

ビタミンD3
皮膚の細胞の分化や増殖を調整するビタミンD₃誘導体を有効成分とした外用薬で、乾癬によって過剰に厚くなった皮膚や赤み、表面のかさつきやめくれなどの症状を改善する作用があります。
外用を継続することで、長期間にわたりきれいな肌の状態を保つことができますが、効果が出るまでには少し時間がかかることがあります。長期間塗り続けても副作用が少なく、ステロイド外用薬と同等の効果が得られます。

ブイタマー
ブイタマー(一般名:タピナロフ)は「AhR調整薬」と呼ばれる種類の薬剤で、乾癬に対して2024年10月から処方可能となりました。今までに無かった、全く新しいタイプの外用薬です。 皮膚の細胞内にある芳香族炭化水素受容体(AhR)にタピナロフがくっつくことにより受容体を活性化させ、さまざまな遺伝子・タンパク質の発現を調整し、皮膚の炎症を抑えます。 全く新しい機序の薬ですので、他の薬との比較はこれから検討が必要ですが、長期間外用しても副作用の心配が少なく、当院で使用中の患者様を診察していると皮膚の赤みを抑える効果もかなり高い印象をもっております。
内服薬
シクロスポリン
シクロスポリンは、免疫の過剰な働きを抑える作用をもつ内服薬で、主にアトピー性皮膚炎や乾癬などの炎症性皮膚疾患に使用されます。
シクロスポリンを服用することで炎症を内側から鎮め、症状のコントロールを図ることができます。比較的早く効果があらわれやすく、重症の患者さんに対して短期的に集中的に用いられることが多い一方で、腎機能への影響や高血圧などの副作用のリスクもあるため、定期的な血液検査や血圧の管理が必要となります。

オテズラ(一般名:アプレミラスト)
免疫や炎症に関わる体内の酵素(PDE4)を抑えることで、皮膚の炎症反応を調整し症状を改善する内服薬です。ステロイドや免疫抑制剤とは異なる新しい作用機序を持ち、全身に影響する炎症をやわらげることから、中等症~重症の乾癬治療などで用いられています。
長期的に服用できる薬として注目されており、免疫を極端に抑えるわけではないため、感染症のリスクが比較的低く長期使用による副作用の心配が少ないです。
一方で、服用初期に胃腸症状(吐き気や下痢)や食欲不振、頭痛などがみられることがあるため、継続的に経過を確認しながら服用を進めます。

ソーティクツ(一般名:デュークラバシチニブ)
ソーティクツは、TYK2というたんぱく質のはたらきを抑えることにより、TYK2がかかわる免疫反応を抑えることで乾癬の症状を改善すると考えられています。
尋常性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症に適応があります。従来の免疫抑制剤やステロイドとは異なる作用機序を持ち、感染症リスクを抑えながら高い効果が期待できる点が特徴です。
注射療法

トルツ(一般名:イキセキズマブ)
トルツは、IL-17Aをブロックすることで皮膚の炎症や角質の過剰な増殖を抑える生物学的製剤です。
乾癬の皮膚症状に対する効果が非常に高く、特に「速効性」に優れているとされ、治療開始から比較的早い段階で皮膚の赤みや盛り上がりが改善する方が多くいらっしゃいます。

コセンティクス(一般名:セクキヌマブ)
注射薬であるコセンティクスは、乾癬の症状を起こすサイトカインの1つであるIL-17Aに直接作用してはたらきを抑えることで症状の改善を目指すために使用される薬です。
乾癬の皮膚症状だけでなく、関節にも炎症が出る「関節症性乾癬」や「膿疱性乾癬」に対しても効果が期待できます

ビンゼレックス(一般名:ビメキズマブ)
ビンゼレックスは、2023年に日本で使用が開始された比較的新しい生物学的製剤です。
炎症に関わるサイトカインの中でも、IL-17AとIL-17Fという2つの物質をターゲットにした薬剤で、皮膚の炎症と角質の異常な増殖を強力に抑える作用があります。
特に皮膚症状の範囲が広い方や、他の治療で効果が不十分だった方にとっては、新しい選択肢となります。

ヒュミラ(一般名:アダリムマブ)
ヒュミラは、TNF-αという炎症を引き起こす物質を抑えることにより、乾癬をはじめとするさまざまな自己免疫疾患に用いられている生物学的製剤です。
関節リウマチやクローン病など、幅広い疾患にも保険適用されており、国内外で長年使われてきた実績があります。
乾癬治療においても、特に膿疱性乾癬や乾癬性紅皮症などの重症例にも対応可能で、全身の炎症を抑える力に優れています
紫外線療法

ナローバンドUVB
この治療は、過剰な免疫作用を抑える働きがあります。外用療法で十分な効果が得られない場合に行われ、広範囲に症状がある場合には光源ランプを用いて、週に1~3回、全身に紫外線を照射します。
ただし、紫外線照射により日焼けや色素沈着が起こることがあります。

エキシマライト
この治療は、過剰な免疫作用を抑える働きがあります。外用療法で十分な効果が得られない場合に行われ、症状が一部分のみの場合には、患部に集中的に紫外線を照射します。
ただし、紫外線照射により日焼けや色素沈着が起こることがあります。
当院は乾癬治療における生物学的製剤の使用を日本皮膚科学会より許可された認定施設です。
よくあるご質問
ステロイド外用薬には副作用はありますか?
ステロイド外用薬を漫然と使い続けると、皮膚が薄くなったり弱くなったりすることがあります。決められた容量、用法で使うことが大切です。
乾癬は完治する病気ですか?
乾癬は慢性で発疹を繰り返し作りますが、発疹が完全に消え、自然消褪する患者様も多くいらっしゃいます。
乾癬の悪化を防ぐために、日常生活での注意点はありますか?
規則正しい生活と、バランスのよい食生活が大切です。乾癬が悪化しますので、カロリーの取りすぎには注意しましょう。ストレスも乾癬の大敵です。一般的に日光浴はおすすめですが、紫外線で悪化する場合もあるので、過度に行わないように注意してください。
スキンケアはどうすれば良いですか?
精神的なリラックスの意味でも入浴はおすすめです。ゴシゴシ洗いは悪化の原因になるので、身体は優しく洗います。肌に刺激を与えないよう、刺激の少ない素材の衣類を選ぶことも大切です。乾癬に対するスキンケアで有効な方法は明らかではありませんが、最近では保険適応のあるヒルドイドクリーム外用が症状を改善させるという報告もあります。
乾癬は遺伝しますか?
乾癬になりやすい体質は遺伝する可能性がありますが、その割合は4~5%とそれほど高くありません。乾癬の発症には体質だけでなく、ストレスや食生活など外的因子の影響も絡んできます。体質が遺伝したからといって、必ずしもお子様が乾癬になるとは限りません。
監修医情報

理事長・院長 佐々木良輔
略歴
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2006年
浜松医科大学 卒業
徳州会病院で救急・総合診療研修 -
2008年~2010年
藤田保健衛生大学皮膚科学 助教
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2010年~2011年
大同病院皮膚科 勤務
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2011年~2013年
藤田保健衛生大学皮膚科学 助教
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2013年~2015年
刈谷豊田総合病院 皮膚科 勤務
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2015年~
藤田保健衛生大学皮膚科学 客員助教
あつた皮ふ科・美容皮膚科クリニック(旧:あつた皮ふ科クリニック)院長
資格・所属学会
- (一社)日本専門医機構認定皮膚科専門医
- 日本皮膚科学会 中部支部代議員(2016年~2023年)
- 日本皮膚科学会 東海地方会評議員(2016年~2022年)
- 藤田医科大学皮膚科学 客員助教