多汗症

多汗症とは

人間の身体は、暑さや運動で体温が上がりすぎないよう、汗の蒸発とともに熱を発散させるようにできています。精神的な緊張やストレスによっても、発汗は促されます。このように、汗をかくのは普通のことです。しかしその量が異常な場合、「多汗症」を疑わなければなりません。 症状があらわれやすいのは、手の平や足の裏、ワキの下、額など、汗腺が密集している部位です。思春期から中年世代までの、社会的活動が盛んな年代に多く見られます。男女の比率はほぼ同等です。 多汗症は、「原発性多汗症」と「続発性多汗症」とに分けられます。原発性多汗症は、明らかな原因が存在しないものです。続発性多汗症は、何らかの病気や使用している薬によって引き起こされるものです。そのため、原因となる病気を先に治療する必要があります。

当院における多汗症の治療法

塗り薬イメージ

多汗症は、症状が気になる範囲や年齢や基礎疾患によって治療に使用する薬剤を選んでいくことが良いです。
1.ワキ汗の場合:
 まず保険適応のエクロックゲルやラピフォートワイプの使用をお勧めします。効果不十分の場合、塩化アルミニウムローションやボツリヌストキシン注射(保険適応外)を行うことができます。

2.手汗の場合:
 まず保険適応のアポハイドローションの使用をお勧めします。効果不十分の場合、塩化アルミニウムローション(20%または50%)を紹介しております。

3.顔面・頭部の汗の場合:
 保険適応の薬剤が無いため、ボツリヌストキシン注射(保険適応外)を行うことが多いです。塩化アルミニウムローションを使用することもありますが、顔のかゆみや被髪部の塗りにくさから、好まれない方が多いです。

4.全身の汗の場合:
 プロ・バンサインという内服薬が保険適応となっております。ただし、閉塞隅角緑内障や前立腺肥大の方、重篤な心疾患の方は使用してはいけません。特に40歳以上の方が使用する際には、念のため、眼科で緑内障の有無をチェックすることを推奨しています。また、眼の調節障害、眠気を起こすことがあるので、本剤投与中の患者さんは、自動車の運転等危険を伴う機械の操作は行えません。加えて、全身の発汗が抑えられると体温を下げる機能も低下するため高温の環境下で過ごす場合、熱中症のリスクが高くなるため使用を控えた方がよいです
※他の薬剤同様、年齢・リスクなどを考慮し医師が適応を判断し、処方を行うか決定します。添付文書参照 【ShowLabeling.aspx (pfizer.com)

塗り薬(外用薬)

塗り薬イメージ



エクロックゲル(腋窩のみ) ラピフォートワイプ(腋窩のみ) アポハイドローション(手掌のみ) という保険適応の薬剤を処方しております。
関連ブログ:
・わき汗治療の新薬【エクロックゲル】処方開始 | あつた皮ふ科クリニック (atsuta-skin-clinic.net)
・《多汗症》夏に気になる…わき汗・手足の汗・頭の汗・におい※ラピフォートワイプ・エクロックゲル追記

  • 編集
効果不十分の場合は、塩化アルミニウムローションという、ワキの下に塗る薬を使用することもできます(保険適応外)。毎日塗布し続けることで、徐々に効果があらわれます。数日~数週間と、持続期間が短いため、反復して使用する必要があります。

注射薬(ボツリヌス療法)

ボツリヌス菌がつくる天然のたんぱく質を有効成分とする、ワキの下に注射する薬です。 注射にかかる時間は、5~10分程度です(診断や検査の時間を除く)。1回注射すると、4~9か月、汗を抑えることができます。年に1~2回程度の治療で済みます。

飲み薬(内服薬)

エトレチナート

抗コリン薬や漢方薬が多汗症の治療薬として承認されています。 塗り薬や注射薬とは異なり、広い範囲に効果を及ぼすことができます。 診療ガイドラインでは、塗り薬・注射薬が効かない場合や、これらの治療を適用できない場合に試みてよい治療と位置づけられています。

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