肝斑とは?
30代以降に出現する両頬を中心に比較的広範囲に広がるくすみのようなシミです。
皆さんが一般的にイメージする『しみ』は日光黒子と呼ばれるもの。
日光黒子と思ってご来院いただいたのに、実は肝斑で調べていた治療法と全然違った!なんてこともよくあります。
カウンセリングに行く前に、自分のシミがは実は肝斑かも??と思ったら事前に情報をチェックしてみましょう!!👍️
目次
「このシミ、肝斑かも?」と思ったら
しみ(日光黒子)と肝斑は治療が全く異なるため、診断は重要!!
実はプロでも見逃すこともある肝斑・・・
見分けるにはいくつかのポイントがあります。
一緒に見てみましょう!
以下のチェック項目は私が実際にカウンセリングで見ているポイントです👉️
☆肝斑チェックリスト☆

▷Step1:肝斑のできやすい背景はあるか
☑30代~60代
☑女性
☑1年以内に出産あり
▷Step2:肝斑ができやすい生活習慣はあるか
☑紫外線を習慣的に浴びる、対策をしていない
☑顔を擦るクセがある、洗顔をゴシゴシしている
☑ピルなどの女性ホルモンのお薬を服用している
▷Step3:肝斑の見た目にあてはまるか
☑しみは左右対称にある(多少の濃さの左右差はアリ)
☑しみの形がぼやけている、くっきりとしていない
☑大きさは2cm以上はありそう(ぼやけているのでなんとなくでOK)
☑できている部位は以下の図に似ている
▷Step4:肝斑の特徴はあるか
☑1日の中で今は薄い、今は濃いなどと思うことがある
☑1年を振り返り濃い時期と薄い時期があった
Step1・2で一つでも当てはまり、Step3の数が多いほど肝斑の可能性は高くなります。
またStep4は1つでも当てはまるならほぼ肝斑でしょう。
肝斑の原因・特徴・シミとの違い
肝斑の原因
関連すると言われるのは主に以下の4点です
・日光
・炎症
・女性ホルモン
・遺伝
肝斑が起こるメカニズムはあまりはっきりとはわかっていませんが、病理(細胞レベルで何が起こっているか顕微鏡で調べたもの)では足を伸ばしている異常なメラノサイト(色素を作る細胞)や、日光弾性線維症(日光による弾力のなくなった肌に見られる変化)が特徴的に見られたりします。
肝斑とシミの見分け方
肝斑で特に区別したいのが日光黒子(しみ)です。

肝斑

しみ(日光黒子)
まずは典型的な肝斑としみの写真を比較してみましょう。
シミの場合、線で引けるようなはっきりとした境界があります。それに対し肝斑は境界が曖昧、ぼやーっとしています。また広範囲になることが多く、地図状に広がる、と表現されます。
部位にも特徴があり、摩擦や紫外線で悪化しやすいため、その影響を受けやすい部位にできると考えられます。
肝斑の診察の流れ~クリニックに行ったら~
①カウンセリング
どのシミが一番気になるのか、ご自身のお悩みを伺います。
肝斑が同じようにある方でもそれが第一のお悩みなのかどうかで治療方針は変わります。
②画像診断(レビュー撮影)
画像診断装置レビューにてシミをよりはっきりと画像にして評価します。
自分でも画像を見て肌を客観的に判断できます。
また、本人とスタッフ、医師が同じ画像で見ることでお悩みを共有することができます。
③診察
視診問診、ダーモスコピーなどを用いて、悪性疾患を含む他の疾患の可能性を除外していきます。
④治療方針の決定
治療方法は一つではありません。
肝斑の状態、日光黒子などの合併状況、患者様本人のライフスタイルに合わせて適切な治療を提案します。
肝斑の治療と効果
内服療法
【トラネキサム酸・ビタミンC・ビタミンE】
トラネキサム酸はあらゆる研究で肝斑に対して有効性が確認されています。特に飲み薬が一番効果が高いので非常におすすめ✨️✨️悪化させる心配もなく、比較的副作用も少ないお薬なのでおすすめNo1!!500mg~1000mgを3~6ヶ月の内服が推奨されます。さらに肌の老化を抑えてくれるビタミンC(点滴も有効!)やEも併用することが多いです。
内服できない・または注意が必要な方:妊婦、授乳婦、他のお薬を内服中、血栓症の既往、腎障害がある方など
副作用:食欲不振、悪心、嘔吐、下痢、胸やけなど
外用療法
【ハイドロキノン・レチノール系製剤・トラネキサム酸 +AZA・ビタミンC】
ハイドロキノンは医療用の美白剤です。(一般的に肝斑治療で多く用いられるハイドロキノンは4%~でお化粧品に含まれるハイドロキノンとは濃度が異なります)このハイドロキノンとレチノール(ビタミンA)系製剤を一緒に使用する方法は肝斑治療のゴールドスタンダードとされており効果が高いです。また最近ではトラネキサム酸の外用も効果があると報告が増えており、重ねて使用することもおすすめです☺️
そして、トラネキサム酸の内服を諦めていた方!朗報です♪なんと、当院でもトラネキサム酸の外用薬の取り扱いを開始しました!気になる方はご相談下さい!
またアゼライン酸(AZA)やアスコルビン酸(ビタミンC)といった成分は治療の補助として一定の効果があるため、お化粧品の中にうまく取り込むと良いでしょう。
使用できない方:ハイドロキノン・レチノールは妊婦、授乳婦は使用不可、製剤にアレルギーのある方
副作用:ハイドロキノン・レチノールは赤みや痒みが出ることがあるため医師の指導のもと適切に使用する
イオン導入/エレクトロポレーション
ビタミンCは皮膚に浸透させることで高い美白効果、紫外線からの保護、肌のハリ改善に効果があることがわかっています。しかし単純に塗るだけではなかなか浸透しません。
しっかり浸透させるにはイオン導入やエレクトロポレーションを用います。日常のケアに加えて1ヶ月に1~2回のペースでクリニックでスペシャルケアするとビタミンCの効果が格段に上がります。同時に肝斑に効果のあるトラネキサム酸も一緒に導入するとよりGOOD!

メソナJの施術風景
施術できない方:妊婦、製剤にアレルギーがある方
副作用・リスク:赤み(非常に稀)軽度の痛み(非常に稀)
レーザートーニング
肝斑に対するレーザーは適応があれば効果は高い治療です!
肝斑に行うレーザーはトーニングと呼ばれ、低いパワーで繰り返し照射する方法で行います。
以前は『レーザートーニングで肝斑が悪化することがある』と言われ賛否両論ありましたが、適応を見極め他の治療との併用をすることで有効率が上がり、近年では多くの研究で有効であると報告されています。

肝斑治療によく使われるトライビーム
当院でも悪化する方はとても少なく、高い効果が出ています。
あつた皮ふ科美容皮膚科クリニックではエビデンスの高いQSNdYAGレーザーによるトーニングを行っています。
施術できない方:妊婦
副作用・リスク:直後の軽度の赤み、稀に肝斑の悪化
治療後のスキンケアと再発予防
肝斑においては自宅での適切なケアがとても大切です✨️
紫外線対策
紫外線は肝斑を悪化させる大きな原因。せっかく治療しても日焼けで台無しに・・・治療中も治療後もできる限りの対策を!
《おすすめのケア用品》
プラスリストアUVローション
プラスリストアUVミルク
Ublock
美白化粧品
トラネキサム酸、ビタミンC、アゼライン酸などの一部の有効成分は長期間安全に使用できるコスメに含まれています。刺激が少なく日常使いしやすいです。治療後もこれらでケアすることで再発予防になります。
《おすすめケア用品》
インナーモイストTAローション
ビタミンCローション
AZAクリア
あつた皮ふ科美容皮膚科クリニックでの治療の一例
【before・after】

レーザートーニング+イオン導入1回目

レーザートーニング+イオン導入2回目

レーザートーニング+イオン導入3回目
【料金表】 ※表示金額は全て税込みです ※表示金額は全て税込みです ※表示金額は全て税込みです
<イオン導入ケミカルピーリング>
部位 1回 5回(1回あたり) 顔+首 18,000円 85,000円(17,000円)
<メソナJ>
1回 5回(1回あたり) トータルスキンリジュビネーション 【初回限定】22,000円
【2回目~】29,000円120,000円(24,000円) 美白(しみ・くすみ・肝斑) 25,500円 105,000円(21,000円) 赤み(赤ら顔・ニキビ) 22,000円 90,000円(18,000円)
<レーザートーニング>
範囲 価格(1回あたり) 全顔(または首)初回 19,800円 全顔(または首)単回 23,200円 全顔(または首)5回コース 81,200円(16,240円)
※顔首セットの場合はそれぞれ1.5倍の料金で対応可能
最後に
肝斑は良くなったように見えてもまた悪くなったりするので、適切な治療と長期的なケアが大切。今回は肝斑がテーマでしたが、シミの治療をしながら肝斑ケアを行うことも可能です。一度あつた皮ふ科美容皮膚科クリニックで自分のお肌の状態を評価してみませんか?
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当院Instagramでも肝斑について投稿しています!肝斑についての投稿はこちらから👉

参考文献
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