亜鉛欠乏症候群とは?症状と治療法を皮膚科医が解説
こんにちは~
今回お伝えしたいのは『亜鉛欠乏症候群』
名前の通り、食事から摂取するミネラル『亜鉛』が足りなくて起こる病気です…
妊婦さんは不足しがちなためサプリなどを飲むこともあるかもですが、それ以外だと「普段、亜鉛意識して摂取してるよ😚」っていう方少ないと思います。
そんな感じでわりとマイナーな『亜鉛』ですが、欠乏するとどんな症状が起こるのでしょうか。
皮膚科の視点から解説いたします👍
まずは想像しやすい、ストーリー仕立てにしてみました🤭
①70歳の男性、とてもお酒が好きで毎日食事と共にお酒を飲みます。
最近は年齢のこともあり、食が細くなっていますが、大好きなピーナッツをつまみにお酒を飲んでいます。お肉などは胃もたれするので好みません。
陰部と口回り目の周り、手足の指先が赤くなり最近ではただれているようにもなってきました。かゆみもあり皮膚科に受診したところ、採血にて亜鉛欠乏があり、内服を開始しました。
②40歳女性、体形が気になるためダイエットをしています。
色々なダイエットを試していますが、最近は美容にも意識を向けて食物繊維をしっかりとるようにしています。お肉は高カロリーなのでとりません。
最近少し抜け毛が増えてきていて、髪を結ぶと地肌が目立つようになりました。皮膚科で脱毛症の治療ができることを知り受診しました。
脱毛の原因に疾患が隠れていることもあると言われ採血をしたところ、亜鉛欠乏が見つかり内服を開始しました。
皮膚の症状は目に見えるので皆さん最初に気が付きやすいです✨
でも皮膚が荒れても死なないでしょと我慢したり、市販薬で何とかしようとしたりして時間が経過してしまうことも😣具体的にどんな症状があるか知っておきましょう🧐
・手足の先の皮膚炎(赤み、ぽつぽつ、カサカサ)
・爪の変形や爪の周りの荒れ
・目の周り、鼻孔、口の周り、耳、外陰部などの皮膚炎(赤み、ぽつぽつ、カサカサ、ただれ)
・脱毛
ひどくなる前だと普通に乾燥かな、肌荒れかな、といった症状で気が付きにくいですね💦
一般的な肌荒れのお薬を使用してもよくならない、というのも重要なポイントです!
亜鉛が不足しやすい条件をご紹介します👍
●高齢者
摂取量の不足、亜鉛欠乏を引き起こす基礎疾患の増加などで一般的に不足しやすい。2008年の調査で高齢者の25%が亜鉛欠乏だったそうです😲
●妊婦さん
必要摂取量が増加する、産科での指導を受けることが重要。
●亜鉛の吸収を阻害する食物の過剰摂取
カルシウム、食物繊維、コーヒー、アルコール、未精製の穀物など。
他の疾患が原因の場合や特殊と私が判断したものは省いてます!詳しく知りたい方はこちらを参考にしてください➡亜鉛欠乏症の診療指針2018
特に亜鉛欠乏症に陥りやすい生活習慣として
・ダイエットをしている方
・菜食主義
・アルコール中毒の方
などが指摘されています。とても身近な落とし穴かな、と思います。
特定の食品群を避けたりしてバランスが悪くなること、極度な食事制限をすることはよくありません!
もちろん、無理に食べたくないものを食べなくてもサプリメント等で補うという選択肢もありますので、うまく活用しましょう。
●亜鉛推奨摂取量
成人男性:10mg/日
成人女性:8mg/日(妊婦は+2mg/日,授乳婦+3mg/日)
(厚生労働省『日本人の食事摂取基準』より)
●亜鉛を多く含む食品
・牡蠣 5粒で7.9㎎
・豚レバー 70gで4.8㎎
・牛肩肉(赤肉)70gで4.0㎎
・うなぎ1/2尾で1.1㎎
(亜鉛欠乏症の診療指針2018より)
➡お肉には豊富に亜鉛が含まれます。その他の食品に関してはこちらを参考にしてみてください。
受診で亜鉛欠乏が疑われたらまずは採血にで血中の亜鉛の量を調べます。
亜鉛欠乏症候群の場合、最初は食事だけで改善させるのは難しいです。
亜鉛の量が低い場合は酢酸亜鉛製剤(ノベルジンⓇ)を処方します。定期的な採血にて血中の亜鉛の値が上昇したら治療終了を検討し、その後は食事内容の改善などで経過を見ましょう。
【最後に】
あつた皮ふ科クリニックは保険診療・自費診療の両方を行っている名古屋市熱田区・中川区から通いやすい皮膚科クリニックです。
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