足の裏のほくろは危険!と聞いたことありませんか?
私も母から幼少期言われたことがあります。
『雷がなったらおヘソを隠す』レベルの迷信っぽくも感じるのですが
これ実は完全な迷信でもありません。
はたまた『正しい』というわけでもなく、
どういったときに注意が必要なのか、知っておくと早めに対応できてgoodです👍️
目次
足の裏のほくろはなぜ気をつけるべき?
体にある色素を持った小さな丸いできものは、母斑と言われるいわゆる『ほくろ』であることが最も多いです。
誰にでもありますよね。
ではなぜ足の裏のほくろは危険と言われているのでしょう?
それは、メラノーマ(悪性黒色腫)という癌のできやすい部位が原因です。
日本人におけるメラノーマ(悪性黒色腫)の病型分布
メラノーマは悪性度が高く進行も早いことが多いのに、初期は小さいほくろと見た目が似ている点も警鈴が鳴らされる理由でしょう。実際、皮膚科医が見ても診断が難しいケースも珍しくはありません。
メラノーマとは?注意が必要な理由
メラノーマとは、メラノサイトという皮膚の色素、メラニンを作る細胞が癌化したものです。
メラノーマの生存率
病期 | 主な特徴 | 5年生存率(目安) |
---|---|---|
I期(IA・IB) | 表在・浅い浸潤で転移なし | 約96〜98% |
II期(IIA〜IIC) | 浸潤が進み局所進行だが転移なし | 約72〜94% |
III期(IIIA〜IIID) | リンパ節転移あり | 約26〜88% |
このように早期に治療できれば高い生存率ですが、発見が遅れ進行が進むと命に危険を及ぼす病気と言えます。
日本人はメラノーマに注意
末端黒子型が多いのは日本に特徴的で、逆に欧米では全体の2%程度で稀です。
日本では欧米よりもメラノーマが診断されたとき、癌が進行してしまっていた方が多かったそうです。
これは日本ではメラノーマが足底、爪など、発見しにくい部位に多いことが関連しているのではないか、と考えられています。
ですから、迷信ぽっくても『メラノーマという癌が足や手にできやすい』ということは知っておき、普段から気をつけておくというのはいい習慣かもしれません☺️
メラノーマの危険因子

- 紫外線
特に慢性的な日常の軽い日焼けよりも強い日焼けが原因になるようです。
- 外傷
- メラノーマと関連のあるほくろ
良性のほくろと悪性(メラノーマ)の見分け方
良性と悪性の簡単な見分け方のルールがありますのでご紹介します。ですが、メラノーマはそもそも多彩な見た目をしており、判断は難しいことが多いです。
少しでも心配なら医師にしっかり診てもらうのが一番です!!

ABCDEルールとは?
目で見てわかるメラノーマの特徴をまとめたものです。
英語が元なのでちょっと分かりにくいのですが、こういうことです💦
A)左右が非対称で形がいびつ
B)辺縁がぼやっとしていて、線が引けるようなはっきりした境界がない
C)色が均一でなく、濃淡がある
D)大きさある 6mm以上かどうかが一つの目安
E)大きくなったり、盛り上がってきたり、変化している
メラノーマを疑う条件
その他にもこんな方は要注意!!- 家族でメラノーマの方がいる
- 急速に変化している
- 他のほくろと見た目が異なるものがある
皮膚科での診断方法
皮膚がんが心配で皮膚科を受診した場合、どのような検査ができるでしょう。
ダーモスコピー
ダーモスコピーとは肉眼では見えない細部まで見ることができる皮膚用の拡大鏡です。
写真のエピライトエイトはあつた皮ふ科・美容皮膚科クリニックで使用されているダーモスコピー。
8倍に拡大、ライトの当て方で反射/無反射の切り替えができるなど特殊な機能がついています。
ダーモスコピーで皮膚を見ることで血管や色素などの構造物を細かく見ることができます。
※ダーモスコピーだけで100%良性/悪性を判断することは出来ず、あくまでも診断の補助の道具です。大きくなるスピード、上記のABCDEの考え方と総合して診断をしております。
~『◯ヶ月後に見せてください』の真意~
疑わしい症状がない場合でも、実は100%否定するのってとても難しいです。
例えば裁判でも、有罪を証明するのって証拠があれば楽だけど、無罪の証明って難しいですよね😓いつまでもモヤモヤが残る場合もあると思います。
これと同じで『100%悪性ではないです!』って言えるのは本当に稀です。
ですが、メラノーマなら何度も見ていくと敵がボロ(悪性所見)を出し始めます。万が一そのような傾向が見られた場合は直ぐに対処できるように、定期的に見せていただくことが重要なのです💡
病理検査
病理検査とは組織をメスで取って(生検)顕微鏡で細胞を観察する検査のことです。
多くの癌の場合、ダーモスコピーで少しでも疑わしい所見があった場合は、病理検査をします。
ただし、メラノーマの場合は、病理検査は大きい病院で行う方が好ましいです。
理由は、クリニックでは病理診断ができる設備が整っていない(できるけど結果が出るまでに2週間程度かかる)こと、大きく切除するのは困難ということです。
メラノーマの場合いち早く診断をつける方が好ましいですし、他の皮膚癌と異なり生検も大きく取ることが望ましいです。
ですから、多くの場合疑わしいと思った場合は直ぐに大きい病院へご紹介となります。
メラノーマを疑われたり診断されたら?
ダーモスコピーで悪性と疑うまたは診断
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紹介状作成お渡し
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基幹病院へ紹介状をご持参いただき受診
(病院によって受診方法が異なります。各病院のHP等でご確認ください)
周囲の基幹病院と日頃から密接に連携を取っており、患者様が困ることがないようにしております。
また、患者様とご相談のうえで、できるだけご希望に添った病院に紹介するよう努めます。
ご不安なことが多いとは思いますが、安心して紹介先へご受診ください。
主な紹介先
名古屋市立大学病院、名古屋大学医学部附属病院、中京病院、藤田医科大学病院など
よくある質問Q&A
Q1. 昔からある足の裏のほくろも検査した方がいいですか?
長い間変化のないほくろは良性のことが多いですが、気になる場合は一度皮膚科でみてもらうと安心です。
Q2. 子どもの足の裏にもメラノーマはできますか?
非常に稀ですがないとは言い切れません。心配な場合は皮膚科で診てもらうことをおすすめします。
Q3. 茶色や灰色のほくろでも注意が必要ですか?
単純に色だけで判断はできません。特に色ムラがある場合は注意が必要です。
Q4. 皮膚科での検査は痛いですか?
ダーモスコピーは虫眼鏡のような機器を皮膚に当てるだけで痛みはありません。
Q5. 自分で切ったり削ったりしてもいいですか?
絶対にやめましょう!がん細胞が周囲に広がったり、診断の妨げになります。
最後に|あつた皮ふ科美容皮膚科クリニックのご紹介
稀な癌ですが、診断が遅れると危険な病気です。
まずはお近くの皮膚科を受診しましょう。
あつた皮ふ科美容皮膚科クリニックの診療はこちらから
また、他の皮膚疾患についてはホームページからご検索ください。
参考文献
1.)福島聡ほか.『皮膚がん診療ガイドライン第4版 メラノーマ診療ガイドライン2025』2025/2/20.公益社団法人日本皮膚科学会.https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/melanoma2025_250220.pdf(2025/7/19)
2.)清水宏.『新しい皮膚科学』.中山書店,2018
3.)『エピライトエイト』株式会社エムエムアンドニークhttps://mm-japan.co.jp/product/epilight.html(2025/7/19)