● ブイタマークリーム
ブイタマー(一般名:タピナロフ)は「AhR調整薬」と呼ばれる種類の薬剤で、2024年10月から処方可能となりました。皮膚の細胞内にある芳香族炭化水素受容体(AhR)にタピナロフがくっつくことにより受容体を活性化させ、さまざまな遺伝子・タンパク質の発現を調整し、皮膚の炎症を抑えたり、バリア機能を回復させる作用を引き起こします。成人及び12歳以上の小児のアトピー性皮膚炎、成人の尋常性乾癬の治療に使用します。
ブイタマークリームについては、blogにも説明がございます。よろしければこちらをご覧ください。
● タクロリムス軟膏
ステロイド外用薬に代わる新しい薬で、ステロイドとは異なる作用で治療していきます。副作用が少ない点で非常に優れています。塗る量や年齢に制限があるので、実際はステロイドとうまく組み合わせて使用していきます。
0.1%成人用と0.03%小児用がありますが、2歳未満の小児には現時点では使用できません。ただアメリカ皮膚科学会のガイドラインでは2歳未満も、タクロリムスは安全で効果的であるとされており、将来的に日本でも2歳未満に使用可能になるかもしれません。
● コレクチム軟膏
ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬という新しいお薬が2020年1月に承認されました。このお薬は、アトピー性皮膚炎の治療において世界初の塗り薬で、ヤヌスキナーゼをターゲットにしています。ヤヌスキナーゼは、かゆみの悪循環の一部であるシグナル伝達の『JAK/STAT経路』を遮断することで、かゆみや炎症を抑えることができます。また、刺激や副作用が少ないため長期使用が可能です。成人用と小児用の両方があり、生後6か月から使用可能となっています。これにより、生後6か月~2歳のお子さんにもステロイド外用薬以外の選択肢が出来、副作用を軽減できるようになりました。もちろん2歳以上の方も従来通り使用できます。
コレクチム軟膏については、blogにも説明がございます。よろしければこちらをご覧ください。
● モイゼルト軟膏
2022年から新たなアトピー性皮膚炎の治療薬としてモイゼルド軟膏(PDE-4阻害剤)が処方可能になりました。以前から尋常性乾癬の治療薬として内服薬の「オテズラ錠」が使用されてきましたが、安全性が高い外用薬としてもモイゼルド軟膏が使えるようになりました。ステロイド外用後に、良い状態を維持するために以前から使用されていたタクロリムス軟膏と比べて、コレクチム軟膏やモイゼルド軟膏は刺激感が少なく、令和5年12月から生後3か月の赤ちゃんからモイゼルト軟膏の使用が可能になり、アトピー性皮膚炎の悪化を防ぐ対策がしやすくなりました。