免責事項
シミ治療は、皮膚科と美容外科・美容皮膚科のクリニックのどちらを選べば良いのでしょうか。患者様からこのような質問を受けることがあります。皮膚科専門医としての立場から解説します。
なお、本記事に記載する「美容外科・美容皮膚科のクリニック」とは、特定のクリニックを指すものではありません。また、あくまで個人の見解となりますので、あらかじめご了承ください。
皮膚科・美容皮膚科と
美容外科・美容皮膚科の違い
現在の医療制度では、医療機関が標榜する診療科を選択できるため、誤解がないよう、本記事では以下の表のように定義します。
| 比較項目 | 皮膚科を中心とするクリニック | 美容外科を中心とするクリニック |
|---|---|---|
| 項目 | 皮膚科・美容皮膚科 | 美容外科・美容皮膚科 |
| 主な標榜科目 | 皮膚科 | 美容外科 |
| 専門医 | 皮膚科専門医 |
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| 保険区分 | 保険診療中心 | 自由診療中心、または自由診療のみ |
| 医師の経歴 | 総合病院などで一定期間勤務し、専門医を取得した後、数年を経て開業するケース |
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最近よく聞く「直美(ちょくび)」とは?
医師の間では以前から話題になっていましたが、ニュースやワイドショーでも「医師の保険診療離れ」「直美医師の増加」などが取り上げられるようになりました。一般的に「直美」とは、医師国家試験に合格し、総合病院などで初期臨床研修の2年間を終えた後、すぐに美容外科などの自由診療を中心とするクリニックに勤務する医師を指すことが多いようです。
もちろん、直美と呼ばれる医師のすべてが悪いというわけではありません。その後の経験によっても左右されますし、経験年数が長い医師が必ずしも良い医師であるとは限りません。
ただ、日々診療をしていると、専門医を取得する過程で得た知識が役立つ場面は多くあります。専門医を取得するためのトレーニングを経ず、シミや赤ら顔などの皮膚科領域を幅広く治療している場合、トラブルにつながる可能性があることを問題視しています。
皮膚科専門医とは?
冒頭でも触れましたが、日本では医師免許を持っていれば、皮膚科を標榜することができます。
一方で、医師の専門性を担保するため、日本専門医機構が管理する専門医制度が設けられています。
日本専門医機構では、専門医を「それぞれの診療領域における適切な教育を受けて、十分な知識・経験を持ち、患者から信頼される標準的な医療を提供できるとともに、先端的な医療を理解し、情報を提供できる医師」と定義しています。
皮膚科専門医になるためには、主に以下の要件を満たす必要があります。
- 指導医が在籍する皮膚科専門医研修施設などで、所定の研修を受けること
- 一定数以上の皮膚外科手術、学術論文の執筆、学会発表および講習会の受講などを行うこと
- 専門医試験に合格すること
- 取得後も所定の要件を満たし、専門医資格を更新すること
専門医の何がいいの?
専門医の資格を取得・維持することが大変なのは分かったけれど、それがシミなどの美容医療にどうつながるのか、疑問に思われる患者様もいらっしゃると思います。
他の皮膚科専門医の先生方が公開しているホームページでは、「皮膚科専門医だから正確な診断ができる」という趣旨の説明がよく見受けられます。当院での経験をもとに、もう少し詳しく説明します。なお、以下はあくまで一般論です。
正確な病態の分類ができる
シミと呼ばれる症状には、「老人性色素斑・雀卵斑・肝斑・後天性真皮メラノサイトーシス・炎症後色素沈着」などの分類があります。それぞれ適した治療方法が異なりますが、すべてを単に「シミ」として治療しているクリニックも見受けられます。
また、円形脱毛症であるにもかかわらず、長年にわたりAGA治療薬を投与されていた患者様もいらっしゃいました。円形脱毛症に対してフィナステリドなどのAGA治療薬を投与しても、通常は効果が期待できません。
重大な事例としては、皮膚がんに対してレーザーが照射されていたケースも、大学病院勤務時代に経験しました。皮膚がんが疑われる病変に安易にレーザーを照射すると、適切な診断や治療が遅れるおそれがあります。
このような例は少ないと思いたいところですが、実際には一定数発生しているのが現状です。
皮膚疾患のある方にも美容医療を提案できます
当院を受診される患者様から、他院で次のように言われたというお話を伺うことがあります。
- アトピーなどの皮膚疾患がある方は治療できないため、皮膚科で治してから来てください
- シミの診断を受けてから来てください
もちろん皮膚の状態によりますが、皮膚疾患の治療を並行しながら、自由診療による美容医療を受けられる場合があります。ただし、同一の疾病に対する保険診療と自由診療の併用は、混合診療に該当する可能性があるため、当院では行っておりません。
病気の仕組みを理解していれば、時期や患者様の状態に応じて、どの症状の治療を優先すべきか、自由診療を行える状態であるかなどを確認しながら治療を進めることができます。
そのため、自由診療の途中で治療を一時的に休止していただいたり、治療内容を変更したりすることもあります。
トラブルに対応できる
実際に診療していると、既存の病名や診断名だけでは明確に分類できない症状に遭遇することがあります。
そのような場面で、専門医を取得するまでに身につけた知識が役立ちます。
皮膚科医は、皮膚の仕組み、病理検査、細胞レベルで起きている変化などを学びます。また、甲状腺疾患など、内科領域の病気が原因で皮膚症状が悪化するケースもあります。
このように、症状が起きる仕組みを理解しているからこそ、教科書どおりの明確な症状でなくても、適切なアプローチを検討できます。これが、専門医の大きな特徴の一つであると考えています。
まとめ
自由診療では、どのクリニックで治療を受けるかは患者様の自由な意思に委ねられています。
昨今では、美容外科を中心としてきたクリニックが、シミや赤ら顔などの皮膚科領域まで幅広く取り扱うケースも増えています。一方、「美容外科」という名称が示すように、本来は外科的な治療を得意としている医療機関もあります。
当院では、日々の診療を通じて、皮膚科医として身につけた知識が美容医療にも役立つ機会が多いと実感しています。
もちろん、自由診療は決して安価ではなく、特定の治療を強要するものではありません。クリニックを選ぶ際には、医師の専門医資格の有無だけでなく、診断や治療に対する考え方も、判断材料の一つとしていただければ幸いです。
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