おしりにできる青いあざ「蒙古斑(もうこはん)」は多くの赤ちゃんに生まれつきあり、その後成長とともに消えることはご存知の方も多いと思います。
ですが、同じ蒙古斑でもおしり以外の部位にできる「異所性蒙古斑」だと、実は自然に消えないこともあるのです。
そればかりか、実は大人になってから治療すると、子供の時よりも効果が弱くなってしまいます。
治療が必要なのか、自然に消えるのか、早めに医師に相談することで、適切な対応ができます。
また、治療は保険適用があり、名古屋市だと自己負担0で治療できるケースもあります。
この記事では、異所性蒙古斑の特徴や、レーザー治療できれいに消す方法などについて医師が解説します。この記事を読めば、ご自身やお子様の「あざ」に対する不安が解消し、適切な対処方法が見つかるでしょう。
YouTubeでも当院院長が異所性蒙古斑について解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
ご自身やお子様の症状と似ている場合、経過予測にもなるかと思いますのでぜひご覧ください。
目次
1.異所性蒙古斑とは?

特徴(おしりにある通常の蒙古斑との比較)
蒙古斑は生まれつきある青いあざで、真皮層(皮膚の深い層)のメラニン色素が増えることが原因です。
おしり(蒙古斑)かそれ以外(異所性蒙古斑)に分かれます。
おしりの蒙古斑の場合、黄色人種では生後ほぼ100%存在しますが、10歳ごろまでには自然に消失するのが特徴です。
一方、異所性蒙古斑の場合、大人になってもきれいに消えにくく、整容的に気になる場合はレーザー治療を行います。
症状
痛み、痒みなどはありません。また、皮膚表面は平坦で、膨らんできたり徐々に大きくなることもありません。異所性蒙古斑でも年齢とともに色調は少し薄くなりますが、もともとの色が濃い場合などは完全には消えないこともしばしばです。
できやすい部位
おしり以外にできれば全て異所性蒙古斑と呼びますが、特にできやすい部位は- 四肢(特に手首や足首)
- 顔
- 背中やお腹
- 肩
などです。これ以外にもできる可能性があります。
2.異所性蒙古斑は自然に消えるかどうか
異所性蒙古斑の場合、おしりと比較すると消失する可能性は低く、基本的に消えないことを前提として最初は医師に相談するのが良いでしょう。
特に消えにくいだろうと判断される特徴は以下の通りです。
| 消えやすい蒙古斑 | 消えにくい蒙古斑 | |
|---|---|---|
| 主な部位 | 仙骨部・臀部(定型蒙古斑) | 背中、腹部、肩、四肢、顔など(異所性蒙古斑) |
| 出現範囲 | 比較的狭い | 広範囲に及ぶ |
| 色調 | 淡い青灰色 | 濃い青色〜青黒色 |
| 境界 | ぼんやりしている | 比較的はっきりしている |
| 数 | 単発である | 多発している |
| 自然消退の時期 | 幼児期〜学童期までに消失する | 学童期以降も残存している |
3.異所性蒙古斑の治療法
異所性蒙古斑の場合、レーザーの反応率は非常に高く、ほとんどのケースで有効です。
また、異所性蒙古斑に対するレーザー治療は保険適用があります。成人では3割負担、名古屋市の場合は高校生までの方は子ども医療費助成制度が利用できるため自己負担0円でできます。
※名古屋市の場合、以下が制度利用の条件です。
- 名古屋市内にお住まいであること
- 18歳到達の年度末までであること
医師の診察を受け、治療したほうが良い、となった場合はどのような治療方法があるのか、当院での治療方法をご紹介します。
当院では蒙古斑の原因となる色素メラニンを攻撃する2種類のレーザーで主に治療します。
あざの濃さや範囲など症状によって、患者様の負担軽減やよりキレイな結果にするために適切なレーザーを慎重に選んで治療しています。
Qスイッチルビーレーザー 波長694nm

レーザーの効果のキレの良さと反応の良さが魅力です。狭い範囲のあざや濃い色調の場合に用います。
QスイッチNd:YAGレーザー 波長532nm・1064nm

レーザーを打つスピードが速い点が魅力です。
広範囲のあざや、短時間でお子様に負担をかけずに治療したい場合に用います。また色調が薄い場合の色素脱失に配慮した照射が可能です。
治療回数・間隔の目安
照射毎に少しずつ薄くなっていきます。保険適用は3か月間隔で5回までと決まっています。
実際3~5回程度で治療を終了される方が多いですが、まれに5回以上かかる場合もあります。
レーザー治療の副作用
- 痛み
レーザー治療は痛みを伴います。また、治療後当日から翌日ごろまでヒリヒリ感が残ることがあります。
※痛みの緩和のためにテープ麻酔を利用します - 水疱や痂疲形成
レーザー反応によって水疱や痂疲を形成する場合があります。1~2週間程度で消失します。 - 色素沈着
レーザー後に一時的に茶色のシミのような色ができることがあります。治療後1カ月後に濃くなり、その後徐々に薄くなり3か月程度で消失します。 - 色素脱失や色ムラ
多くの場合、治療直後に感じる色素脱失や色ムラが出ても自然経過で回りの皮膚となじんでいきます。ただし稀に長期にわたって残ることがあります。
4.異所性蒙古斑の治療を開始する年齢
0歳から治療可能です。
治療開始は早ければ早いほうがいいと考えています。
年齢が若いほどレーザーの反応性が高くきれいに消せるため、基本的には消えにくい条件があれば早期に治療をおすすめします。
また、年齢が若いと、その後自然に薄くなることが期待できるので、十分薄くなったら治療を敢えて終わらせ、あとは自然に任せる、という方法をとります。これにより色素脱失などのリスクを避けることができます。
ただし3~4歳ごろからは、レーザー治療の痛みや恐怖心が強くなり、安全に治療をすることができなくなります。この年頃を過ぎてからはある程度治療の必要性を理解することができるようになる(中学生くらい)まで治療を待つのが一般的です。
乳幼児期に治療をするよりも少し回数は多くかかる傾向にありますが、継続して治療すれば十分きれいに治療できるでしょう。
5.異所性蒙古斑の当院治療症例
症例1


治療内容:右前腕異所性蒙古斑 Qスイッチルビーレーザー
治療期間:4回
治療費用:0円(子ども医療費助成制度利用)
リスク・副作用:赤み、腫れ、やけど、色素沈着、痛み など
症例2


治療内容:左上肢異所性蒙古斑 Qスイッチルビーレーザー
治療期間:5回
治療費用:0円(子ども医療費助成制度利用)
リスク・副作用:赤み、腫れ、やけど、色素沈着、痛み など
6.まとめ 気になったら気軽にご相談を
異所性蒙古斑の場合、将来消えるか、消えないかはとても微妙な判断となります。治療が必要ないだろう、と思う方も「今すぐ治療しなくても、相談すること」で安心にもつながります。
特にこんな場合は医師に相談することをお勧めします。
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色が濃く、目立つ場所にある
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成長とともにあまり薄くなっていない
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将来の学校生活が心配
異所性蒙古斑などのあざのご相談はぜひあつた皮ふ科美容皮膚科クリニックでご相談ください。
執筆・監修者紹介
参考文献
1.)舟橋 ひとみ.小児を対象としたレーザー治療:異所性蒙古斑.日本レーザー医学会誌.2021;42(1):29–34.doi:10.2530/jslsm.jslsm-42_0002.日本レーザー医学会.2021年4月15日公開. Available from: https://www.jstage.jst.go.jp/article/jslsm/42/1/42_jslsm-42_0002/_html/ja/
2.)清水宏.『新しい皮膚科学』.中山書店,2018

