顔のニキビと同様にお悩みで多いのが、背中・胸のニキビです。
服に覆われている部位だからと軽く見ているうちにどんどん増えてきてしまい
好みの服が着られなかったり、大事なお洋服に血がついてしまったり。
私も経験があります😢
そんなお悩みは皮膚科で解決!
なぜできるのか、どんな治療があるのか解説します
目次
体に繰り返しできる“ニキビ・ブツブツ”の正体は?
実は体にできる治りにくいニキビの多くは、顔にできるニキビとは原因が異なります。
その正体は、ズバリ!『カビ』です。
顔にできるニキビの多くはアクネ菌という菌が毛包で増殖して炎症を起こすことが原因ですが
体にできるニキビは『マラセチア毛包炎』というマラセチア菌(カビの一種)が原因のことが多いです。
顔のニキビと同じものや黄色ブドウ球菌による毛包炎の可能性もあるのですが
実際に診察している体感では、体ニキビでお困りの方の90%以上がマラセチア毛包炎だと感じています😲
特にニキビの治療をしてもなかなか治らない場合は、マラセチア毛包炎の可能性が高いでしょう。
マラセチア毛包炎とは
マラセチア菌とは
※写真はイメージです
マラセチア菌(Malassezia furfur)は皮膚にいつもいる常在菌です。健康な肌では特に問題を起こさずに他の菌ともバランスをとって暮らしているのですが、条件が揃うと増殖しだしてしまい、毛包炎や癜風、脂漏性皮膚炎などの皮膚疾患を引き起こします。
マラセチア毛包炎になりやすいのは?
マラセチア菌は脂質を好みます。
そのため、皮脂分泌の盛んな10代~40代とくに20歳前後で多く見られます。
また、ジメジメとした環境を好むため汗が多い夏には悪化しやすくなります。
その他に、ステロイド外用薬の使用や免疫の低下などでも悪化が見られます。
できやすい部位は?
体の皮脂分泌が多い部位によくできます。
多い部位
- 背中
- 胸(デコルテ)
- 首
- 上腕 など。
ニキビ(尋常性ざ瘡)との違い
かゆい
いわゆるニキビでは痒みよりも炎症による痛みを感じる方が多いですが、マラセチア毛包炎は痒みが出ることがあります。
面疱がない
マラセチア毛包炎は2~4mm代の赤みがあるブツブツ、ときには膿をもったりしてニキビに似ていますが、面疱と言われる角質が詰まったニキビの初期段階は見られません。
ニキビ治療薬が効かない
ニキビの治療薬の抗菌薬はカビであるマラセチア菌には無効です。
診断方法
視診
まずは視診ブツブツの見た目がマラセチア毛包炎っぽい(小さく均一で、赤みや膿をもつ)かどうか、診察します。できている部位(背中や胸)も診断の手がかりです。
KOH直接鏡検
視診では判断できない場合に限って顕微鏡検査もします。
デキモノの中身を取り、顕微鏡でマラセチアの胞子が見られれば確定診断です。
皮膚科での治療
外用抗真菌薬(ケトコナゾール2%クリームなど)
カビに効く塗り薬です
重大な副作用の心配が少ないです
内服に比べると効果が劣ります
範囲が小さい、軽症の方に適しています
約1ヶ月で効果が出る事が多いです
副作用:接触皮膚炎など
内服抗真菌薬(イトラコナゾールなど)
カビに効く飲み薬です
保険適応があります
副作用(肝障害など)をチェックするために約1ヶ月ごとの採血が必要です
外用薬のみと比較すると効果は高いです
広範囲で中等症以上の場合に適しています
100mg/日を約28日で効果が出ることが多いです
副作用:うっ血性心不全、肝障害など
治療効果
軽症例 ケトコナゾール2%クリーム3週間外用
日常生活での予防・セルフケア

汗をかいたらすぐにシャワー・着替え
マラセチア菌はジメジメした場所を好みます。汗をかく夏に症状が悪化するのはこのためです。
汗をかいたらそのまま放置せず、シャワーで流したり着替えたりしましょう。
通気性の良い服・下着・寝具を選ぶ
近年は速乾性の高い素材でできた衣服があります。化学繊維でできている事が多いので刺激にならない素材を選ぶ必要がありますが、このような素材も利用して、皮膚のジメジメをなくしましょう。
丁寧に優しく体をを洗う
マラセチアは皮脂を好みますから、毎日のお風呂などで皮脂を丁寧に落としましょう。ゴシゴシ擦ることで皮膚のバリア機能が破壊され、逆に皮脂分泌が増えてしまうので、優しく泡で洗い流すのがおすすめです。
背中のニキビあとの治し方

背中の場合、マラセチア毛包炎による強い炎症の後くすみ、シミが気になる方が多いです。
背中のシミ・くすみにおすすめの治療
- ハイドロキノン外用
- トラネキサム酸外用
- ピーリングイオン導入
最後に|あつた皮ふ科美容皮膚科クリニックのご紹介
体のニキビはマラセチア毛包炎をかもしれません。
マラセチア毛包炎の治療は皮膚科で!
適切な治療と予防で清潔な肌を保ちましょう。
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参考文献
1.)Characteristics of Malassezia furfur at various pH and effects of Malassezia lipids on skin cells.
2.)望月 隆ほか.『日本皮膚科学会皮膚真菌症診療ガイドライン2019』2019.公益社団法人日本皮膚科学会.https://www.dermatol.or.jp/uploads/uploads/files/guideline/shinkin_GL2019.pdf
3.)Treatment Outcomes for Malassezia Folliculitis in theDermatology Department of a University Hospital in Japan.