〒454-0047
愛知県名古屋市中川区中野本町2丁目44番地

月曜~土曜日まで毎日診療しています
※木曜日は保険診療のみ
※日祝日、年末年始除

ブログ BLOG

粉瘤(ふんりゅう)とは?放置してもいい?原因や手術についても解説します!

こんにちは。あつた皮ふ科・美容皮膚科クリニックです。
今回は「粉瘤(ふんりゅう)」について、できるだけ分かりやすく説明したいと思います!

1、粉瘤(ふんりゅう)とは? 

 
  
皮膚の中に袋状の構造ができ、その中に垢(あか)や皮脂がたまってふくらんで出来る良性のしこりです。
全身どこにでもできる可能性があり、触るとクリクリとしてます。医療用語では「表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)」や「アテローム」とも呼ばれます。
この袋は皮膚と同じような構造をしており、外に出口がないまま中に老廃物が溜まっていくため放っておくと少しづつ大きくなります。時には中央に黒い点(開口部)が見える事もあります。
そのまま何も起きなけば、ただプクッとしたしこりがあるだけ‼なのですが…。

2、粉瘤は何科に行けばいいの?


「粉瘤って何科に行けばいいの?」と疑問な方もいらっしゃると思います。
答えは…皮膚科です!
皮膚科に関するできものやしこりは、まず皮膚科での診察をお勧めします。大きさや場所によっては、形成外科と連携する場合もあります。まずは皮膚科です!

3、原因とは?


粉瘤の原因ははっきりとはわかっていません

粉瘤は、皮膚の表面にある角質を作る細胞(表皮細胞)が、何らかの理由で皮膚の内部に入り込み、袋状の構造(嚢腫)を形成することで発生します。この袋の中には、角質や垢などが蓄積され、徐々に大きくなります。
時々、「脂が出てきちゃった」とおっしゃる方がいらっしゃいますが、粉瘤の内部は角質【垢のようなもの】なのです。

原因として考えられるもの

1. 皮ふの細胞が中に入り込んでしまう

本来、皮ふの表面にある細胞は、毎日少しずつはがれて新しくなっています。
ところが、けがや強いこすれなどがあると、その細胞が皮ふの奥に入りこんでしまうことがあります。
入り込んだ細胞がそこで増えて、袋のようなものを作り、その中に古い角質(古い皮ふのカス)がたまって、粉瘤になります。

2. 毛穴がつまってしまう

顔や背中などにはたくさんの毛穴がありますよね。
この毛穴がなんらかの理由でつまると、皮ふの中に脂や角質がたまっていき、袋状のふくらみができることがあります。これも粉瘤の原因のひとつです。

3. けがや炎症のあとにできることも

転んで皮ふをすりむいたり、ニキビや湿疹などで炎症を起こしたあとに、粉瘤ができることもあります。これは、傷ついた皮ふが元に戻る過程で、細胞がうまく整理されなかったときに起こる現象です。

4. 体質や遺伝も関係することがあります

ご家族に粉瘤ができやすい方がいると、ご本人もできやすいことがあります。
まれではありますが、遺伝的な体質が関係しているケースもあるのです。


一度出来ると、また同じ場所に出来る事もあります。繰り返す場合はしっかりとした治療が必要です。


4、粉瘤って痛いの?

痛い場合もある


通常の粉瘤は押すと少し痛い程度で普段は痛くないことが多いです。
しかし、炎症を起こした粉瘤(炎症性粉瘤)になると、急に赤くはれて、ズキズキと強い痛みを感じる事があります。腫れが大きくなり熱を持ち、皮膚が破れて膿が出る事も。稀に痛みが強くて、出来る場所によっては、座る・歩くのがつらい方もいらっしゃいます。
この状態(炎症を起こしてい痛くなちゃった(´;ω;`))になって、急に心配になって、この記事を読んで頂いている方もいるのではないでしょうか?!そんな方はここから大事なお話ですよ~!

5、粉瘤の治し方・手術について

炎症性粉瘤の場合

まず、とっても大事な事からお伝えします炎症がある状態(赤く腫れて痛みがある状態)になったしまった場合には、1回の通院で完治することはありません(´;ω;`)まずは、炎症をおさめる治療に専念します。

具体的には…
●抗生剤で細菌をやっつける
●状況によっては、感染のもととなる膿を切開して出す(切開排膿)の実施
ただし、切開であっても手術と同等の処置ですので準備が必要であることと、込み具合によってはお待ちいただく時間が発生する可能性がある事をご理解ください。
また、手術後には出血の確認、傷の洗浄や傷の経過を確認させていただくため、翌日を含めた複数回の通院が必要となります。

粉瘤が出来た場所によっては、完治後に肥厚性瘢痕(ケロイド)になる事があります。これは、炎症性粉瘤が破裂した場合や術後に発生する可能性がある事をご理解下さい。


薬(抗生剤)で痛みや腫れが落ち着いたとしても粉瘤自体がなくなることはありません。
完全に治すには、袋ごと手術で取り除く必要があります。放っておくと、また腫れて痛みが出る可能性があるので、炎症が落ち着いた状態で、手術される事をお勧めします。炎症性粉瘤は1ヵ月ほど経過して、普通の粉瘤へと変化していきます。そして、袋ごと取り除く手術をするには最低3か月は待つ必要があります

粉瘤の場合

炎症がない状態の粉瘤であれば、様子を見る事も可能です。
しかし!!やっぱり、自然になくなる事はないのです(´;ω;`)この状態で手術を選択された場合であれば、皮膚切開も小さく済み、縫合が不要な場合もあります(くりぬき法)。
実は、粉瘤は炎症が起こる前に皮膚科受診して、ご相談していただける事がベストだと思っています。痛くもないし、腫れてもないのに、わざわざ病院なんて行かないよ!行こうと思っているけど、後回しにしがち…という気持ち、もちろん分かります。その間に腫れたり、痛くなったりしないことを願うばかりです。

6、手術費用について

粉瘤の手術は保険適用で受ける事ができます



費用は粉瘤の大きさや部位、保険の負担割合によって異なりますので、詳しくは診察時にご確認ください。

7、粉瘤は放置してもいいの?



粉瘤は良性のできものなので、放っておいてもすぐに命に係わるような物ではありません。
しかし!放置するとさまざまなトラブルを引き起こす可能性があります。そして、可能であれば、放置せずに気になった時にご相談頂ければ、一番良い対処方法がご案内できると思っています。

起こりえるトラブル

・徐々に大きくなる(3cm以上になることも)
・中で感染して炎症を起こす(炎症性粉瘤)
・自然に破れて膿が出る(独特なにおいがある)
・しこりがある


8、まとめ



粉瘤とは:皮膚の下にたまった垢(あか)や皮膚の袋で、自然には治らない
何科にいけばいいの?:まずは皮膚科に相談☆
原因:はっきりはしていないが、毛穴のつまり、刺激、体質や遺伝的なものが要因となる。
手術費用:保険適応で、大きさや保険負担割合、手術方法等による。
放置すると?:炎症や再発を繰り返す恐れあり

粉瘤は誰にでも起こりうる皮膚トラブルです。見た目だけでは、診断が難しい場合もあります。
そして、大事なので、最後にもう一度言わせてください。
「これって粉瘤なのかな?」と感じたら  腫れて痛くなる前に皮膚科を受診‼  コレが一番お勧めです(^^♪ ぜひ、お気軽に当院にご相談下さい。

当院の粉瘤に関する HPはこちら
保険診療のご予約はこちら

参考文献

・皮膚科学 第10版
・患者説明用 皮膚疾患アトラス あなたの病気はこれですよ

監修医師 


あつた皮ふ科・美容皮膚科クリニック理事長 兼 院長
佐々木 良輔