掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)

掌蹠膿疱症とは

掌蹠膿疱症は、膿疱と呼ばれる皮疹が、手の平(手掌)や足の裏(足蹠)に数多くできる病気です。膿疱とは白血球の一種で、炎症反応に関係する「好中球」が、皮膚の最上層の角層や表皮内にたまった状態です。はじめは小さな水疱ですが、次第に黄色い膿疱に変化し、かさぶたとなって、それとともに角層がはげ落ちます。その際に紅斑(あかみ)を伴うこと多く見られます。外用治療などで一旦よくなったかなと思っても、周期的に症状がぶり返し、慢性の経過をとることが多いです。皮疹の出始め(特に小水疱のできはじめ)には、強い痒みを伴うこともあります。水疱や膿疱からはウイルスや細菌は見つからず、現時点ではその他の免疫システムが関係する病気ではないかと推測されています。また、慢性的に経過する中で、突然、鎖骨や胸の中央の胸鎖肋関節などが痛くなることがあります。掌蹠膿疱症性骨関節炎と呼ばれます。痛みが非常に強く、日常生活が困難になることもあります。放置すると、関節の変形などにもつながるため、適切な治療が必要です。ややまれな疾患で、比較的中年以降の女性に多いようです。国内のみならず海外でもまだまだ十分な認知度得られておらず、病態研究も進んでいない疾患の一つですが、我が国皮膚科研究者を中心として、世界的に様々な研究や新薬開発などが行われているところです。

当院における掌蹠膿疱症の基本的な治療法

外用薬:
ウイルスや細菌が原因ではないため、抗生剤や水虫薬では効果がありません。炎症を抑えるための対症療法が主になります。 治療は、重症度に合わせて変わってきますが、初期の治療としては、炎症を抑えるためにステロイド軟膏、ビタミンD3軟膏を使います。ただし、外用薬だけではコントロールできないケースも多いようです。

内服薬・光線療法:
外用剤のみで治療効果に乏しい場合、さらに強力な治療として飲み薬や光線療法を検討します。ビタミンAに似た物質である「エトレチナート」には、強い副作用がありますが、効果的です。中長波紫外線療法(ナローバンドUVB、「エキシマライト」)も効果的であることが知られています。

生物学的製剤:
これら治療により改善がみられないときは、生物学的製剤(トレムフィア、スキリージ、ルミセフ)による治療が行われることがあります。

掌蹠膿疱症性骨関節症:
掌蹠膿疱症性骨関節炎が起きた場合は、連携するリウマチ科医などへご紹介とし、病診連携あるいは診診連携により、免疫抑制剤、生物学的製剤導入も検討することになります。

掌蹠膿疱症に関わるご相談(コンサルティング):
当院には当該疾患の病態研究、治療開発、臨床治験に長年にわたり、数多く携わってきた常勤医師が勤務しています。現在の診断・治療で充分な結果が得られず難渋している方で、治療オプションなどを相談されたい方(セカンドオピニオンを含む)については、皮膚科診療外でのコンサルティングを行うことが可能ですので、ご相談ください。

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文責:あつた皮ふ科クリニック院長補佐 村上正基
   (日本専門医機構認定皮膚科専門医、領域横断疾患研究機構・理事)

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